手続できる期間
出願人や権利者等が特許庁に対して様々な手続ができる期間は、特許法等の法律、特許法施行令等の法令及び方式審査便覧等で規定されています。これらの期間は、短いものから長いものへ順に、同時、1週間、10日、14日、15日、20日、25日、30日、1月、35日、40日、45日、1月+15日、50日、55日、60日、2月、70日、75日、90日、3月、6月、12月、1年、1年2月、1年3月、1年4月、3年などです( 特許庁HPの審判便覧25-01.1及び25-01.3の「主要期間一覧(1)及び(2)」参照)。
ここで、「同時」に手続することを説明しましょう。「同時」に手続する具体例としては、特許出願の審査において拒絶査定がなされたために、拒絶査定を不服として審判請求する際に手続補正書も「同時」に提出することが挙げられます。
審判請求書と手続補正書とをインターネット出願ソフトを用いて「同時」に提出する場合、審判請求書のファイルと手続補正書のファイルとを〔送信ファイルフォルダ〕に格納し、これらすべてのファイルを選択(反転表示)し、その状態で〔オンライン出願〕ボタンをクリックするという処理を行うことになります。この時、結構ドキドキしますね。
なお、通信トラブル等で一方のファイルだけ送信された場合には、他の操作をせずにすぐに残ったファイルを送信すれば、「同時」に提出したと認められます。
一方、審判請求書と手続補正書とを「同時」ではなく「同日」に提出した場合は、手続補正書は却下されますので、手続補正されていない特許請求の範囲について、前置審査を経ずに審判官の合議体による審理が開始されてしまいます。
この事態を避けるためには、審判請求書を取り下げた後、審判請求書を提出できる期間内に審判請求書と手続補正書とを「同時」に提出する必要があります。なお、先に提出した審判請求書は、取り下げても審判請求料は返還されませんので、注意しましょう。
先に説明した期間のうち、「同時」以外の期間については、特許庁から送付された書類に記載してあることもありますが、期限が近づいたことについて特許庁からは何らの連絡もありません。したがって、出願人等は、いわゆる「自己責任」で自ら期限管理しなければいけません。
もちろん、弊所などの特許事務所では、期限管理ソフト等を用いてお客様の出願等について期限管理をしており、期限が近づけばお客様にお知らせしています。しかし、お客様からご指示がなければ特許庁に対して手続することができません。
だから、特許事務所で特許事務を担当している人たちの中には、お客様の書類で手続期限が過ぎていないかを常に気にかけているために、期限が過ぎて自分が慌てているという夢を見てしまう人までいます。
このように、手続できる期間は、いつまでできるのかという最後の時点を確認することが大事です。ただ、それだけではなく、手続できる期間は、いつから始まるのかという最初の時点を確認することも大事です。特許出願で出願審査請求ができる期間は、特許出願の日から3年以内ということは皆さんご存じだと思います。しかし、以前ご相談に来られたお客様は、出願公開の日から3年以内であれば手続できると勘違いされていたために、結局、出願審査請求をすることができなくなってしまいました。