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知的財産

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弁理士が経営する事務所は、通常、「特許事務所」又は「特許商標事務所」という名称です。しかし、弊所は、「松嶋知的財産事務所」という名称です。

そこで、以下では、弊所が「松嶋知的財産事務所」という名称を用いていることに関連して「知的財産」について、少し述べてみたいと思います。

知的財産とは(特許、実用新案、意匠、商標、著作権等)

私たちは、自動車や携帯電話、洗剤や薬品などの様々な工業製品を利用して、毎日を快適に過ごしています。また、私たちは、音楽や映画、絵画、小説、詩歌などを鑑賞し、教科書や百科事典などの書物から有益な知識を得ています。

工業製品には創作者の様々な創意工夫の成果である発明や実用新案、意匠(工業デザイン)が含まれ、他の製品と識別するための商標(マーク)が付されています。また、音楽や映画などにも、私たちに満足や感銘を与え、刺激する創作者の知的創造の成果が含まれています。このような創意工夫や知的創造の成果は、「知的財産」と呼ばれています。

しかし、工業製品は大量に世の中に出回るものであるし、音楽や映画などもCDやDVDあるいはインターネットからのダウンロードで簡単に手に入れることができます。つまり、知的財産は、貴金属や宝石などと違って、創作者が金庫や自宅に大事にしまっておくことができず、誰でもどこでもまねすることができるものです。その意味で、知的財産は、貴金属や宝石などの有体財産に対し、目に見えないもの、「無体財産」などとも呼ばれます。

このように、知的財産が簡単にまねされたのでは、新しいものを創造しようとする創作者の意欲が失われてしまいます。

そこで、人間の幅広い知的創造活動について、その創作者に一定期間の権利保護を与えるようにしたのが、知的財産権(ちてきざいさんけん)制度です。

知的財産は大切な宝(なぜ財産となりうるか)

「知的財産とは」では、「創作者に一定期間の権利保護を与える」と説明しました。これをもう少し詳しく説明しましょう。

発明、実用新案、意匠、商標については、これらを特許庁という行政機関に登録して管理、保護するための特許法、実用新案法、意匠法、商標法があります。また、音楽や映画、絵画、小説、詩歌など、教科書や百科事典などは、著作物と呼ばれ、これらを保護するための法律は著作権法です。なお、著作物というのは、音楽や映画が記録されたCDやDVDそのものや、書物そのものをいうのではなく、CDやDVD、書籍などに表現された知的創造物をいいます。

例えば、発明の場合、所定の要件を満たせば、特許庁に「願書」という書類とともに発明の内容を記載した書類(これを「特許明細書」といいます。)を提出した日(提出する行為を「特許出願」といいます。)から原則20年間、「特許権」という独占排他権が付与されます。つまり、特許権を持っている人だけが発明を実施できますし、発明をまねしている人にまねするなということができます。ここで、「実施」とは、発明が含まれている工業製品を製造、販売することなどです。一方、「まねするな」ということは、発明が含まれている工業製品を製造、販売するなといえるだけでなく、既に製造した工業製品の廃棄や製造するための施設の取り壊しまで含みます。

以上の場合は、発明の創作者が直接「実施」する場合であり、これによって利益を得ることになります。ただ、発明の創作者が個人や中小企業の場合、自ら工業製品を製造、販売することはできない場合があります。その場合、特許権を大企業に譲渡したり、実施許諾といって特許権自体は発明の創作者や中小企業が依然として所有し、実施権だけを大企業などに許諾する方法があります。実施許諾の場合、製品1個あたり販売価格の一部(例えば、5%程度)を特許権者に支払うというような契約を結びます。実用新案、意匠、商標についても、保護期間が異なる他はほぼ同様な保護が与えられています。

このように、個人や中小企業でも、アイディアが優れていれば、大企業に対抗できるだけでなく、自ら「実施」しなくても、大きな利益を得ることができます。「知的財産が大切な宝」というのは、このことを言っています。「下町ロケット」に出てきたロケットに使用するバルブを発明した下町工場が良い例です。この「下町ロケット」の中でバルブの発明について特許権を取得するために弁理士が活躍していれば、「弁理士」の認知度が少しは上がったのではと惜しんでいます。

なお、著作物の場合には、保護の管轄機関が文化庁である他、特許、実用新案、意匠、商標とは異なる保護制度が著作権法で設けられています。これについては、またいずれ説明します。