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特許と実用新案との違い

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登録対象の違い

実用新案では、物品の形状、構造又は組合せについての考案だけが登録の対象です。

特許では、このような制限はなく、例えば、お菓子、お菓子の製造装置、お菓子の製造方法、お菓子の製造装置にインストールされるプログラムのいずれも登録の対象です。

例えば、「お菓子の製造方法」について実用新案登録出願をした場合、特許と実用新案での権利取得の監督官庁である特許庁より補正指令が来ます。しかし、もともと「お菓子の製造方法」は実用新案の対象ではありませんので、補正することができません。その場合には、補正指令で指定された期間内に、実用新案登録出願を特許出願に変更する必要があります。

登録要件の違い

発明の登録要件

  1. 様式的要件:出願書類が規則で定める所定の書式に適合していること
  2. 発明であること:発明が自然法則を利用した技術的思想の創作であること
  3. 産業上の利用可能性:発明が産業界で製造可能であることなどの利用可能であること
  4. 新規性:発明が出願時点において、原則、誰にも知られておらず新しいこと
  5. 進歩性:発明が既に知られている発明又は考案から容易に考えられないこと
  6. 不特許事由に該当しないこと:発明が犯罪に使われるものでないなど、公序良俗に反しないこと

考案の備えるべき要件

実用新案登録出願は、特許庁で(a)基礎的要件だけ調べられて登録されます。しかし、登録後に権利行使する場合や当該実用新案権を第三者に無効にされないため、あるいは、後日特許出願に変更することも考慮して、(b)実体的要件も必要です。

(a)基礎的要件
  1. 様式的要件:出願書類が規則で定める所定の書式に適合していること
  2. 考案であること:考案が自然法則を利用した技術的思想の創作であること
  3. 考案が物品の形状、構造又は組合せに係るものであること
  4. 不特許事由に該当しないこと:考案が犯罪に使われるものでないなど、公序良俗に反しないこと
(b)実体的要件
  1. 産業上の利用可能性:考案が産業界で製造可能であることなどの利用可能であること
  2. 新規性:考案が出願時点において、原則、誰にも知られておらず新しいこと
  3. 進歩性:考案が既に知られている発明又は考案からきわめて容易に考えられないこと

存続期間の違い

特許では、原則として、出願日から20年間特許権が存続します。

実用新案では、出願日から10年間実用新案権が存続します。早期に実施され、ライフサイクルも短い考案を早期に権利化して保護するためです。

審査制度の違い

特許では、新規性及び進歩性等の登録要件について、審査で良い評価を得て初めて特許権の設定登録が行われます。

実用新案では、登録時に(b)実体的要件が審査されないため、仮に(b)実体的要件を備えていなくても、書類が(a)基礎的要件を備えていれば、実用新案権の設定登録が行われます。したがって、実用新案の登録証は、実用新案が(b)実体的要件を備えていることを証明するものではないということです。この点は、建物や土地の登記済証が真の権利者であることを証明するものではない点と似ていなくもないです。

権利を行使する際の違い

(1)実用新案では、権利を行使する前に、必ず実用新案技術評価請求を行い、その結果である実用新案技術評価書を相手方に提示して警告をする必要があります。

特許では、権利を行使する前に警告は必要ありませんし、実用新案技術評価請求に対応した制度もありません。

(2)実用新案では、権利行使や警告をした後、実用新案登録が無効審判で無効審決が確定した場合、権利行使又は警告により相手方が損害を受けていれば、権利者が自らに過失がなかったことを立証しない限り、権利者が相手方の損害を賠償する必要があります。

特許では、権利行使後に、特許が無効審判で無効審決が確定した場合であって、権利行使により相手方が損害を受けていても、特許権の行使にあたって権利者に故意又は過失があったことを相手方が立証しない限り、権利者は相手方の損害を賠償する必要はありません。

(3)実用新案では、権利を行使する場合、権利侵害について相手方に故意又は過失があったことを立証する必要があります。これは、実用新案権がいわば玉石混淆の状態であるからです。

特許では、権利侵害について相手方の過失が法律で推定されています。